シルクロードのバネ工場

ウズベキスタン、フィリピン、ベトナム、モンゴル、そしてシリアに渡った日本語教師のブログです

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“スピーチ”って何だ!?

シリア日本語スピーチコンテスト直前スペシャル第2弾
というわけで、今回はこれといった写真もなく、ただだらだらと長文を読んでいただくことになってしまいますが……


スピーチ【名(-スル)】 1.大勢の前で自分の意見や主張を述べること(=演説)


スピーチという言葉を辞書で引いたりなんかすると、こんな感じのことが記述されております。

シリアの日本語スピーチコンテストは、学習者のレベルに応じて4つの部門に分かれており、まず初級前半の学習者が与えられたテーマについての発表をする「初級発表部門」。で、今年の発表テーマは「私の夢」
この初級発表部門というのは、去年まで“「日本の童話」などといった物語のスクリプトを先生が作り、発表者がそれを朗読する”というものだったらしいのですが、まず学習効果を考えたときに発表者が必ずしもそれを理解して読んでいるわけではないので、あまり意味がないのでは?というのと、聴衆の方々や審査する側から「同じ物語の朗読を10人近くも聞かされるのは苦痛」との意見もあり、初級前半であっても既習の文法項目でそれなりの発表ができるはず、ということで改められたもの。

んでもってそれ以上のレベルの学生たちはそれぞれ初級後半中級上級の各部門に別れてスピーチを行います。

アレッポの日本センターでスピーチコンテスト出場希望者を募ったところ、手を上げたのは15人(だったかな?)。
その学生のレベルをみて各部門に分け分けしたら、たしか初級発表7人、初級スピーチ6 人、中級スピーチ2人、上級スピーチ0人、という感じになりました。

そこで、「ほんじゃ、まだ完全なスピーチ原稿は書かなくてもいいけど、とりあえず今週中にサマリー(こんなこと話したいですよ、っていうあらすじみたいなの)を書いてきてください。もちろん日本語でね。」…って言ったところ、その時点でリタイアする学生も何人かいて、それでも意気ある学生はサマリーを持ってきたんですが、そんな学生たちが持ってきたサマリーを読んで、ちょっと愕然としてしまいました。

まず初級前半の発表部門
これはまあいいです。「私の夢」っていうテーマもあるから。
みんなそのテーマに沿って自分の夢を書いてきてて、最初はみんながみんな「日本に行きたい」みたいな内容だったらどうしようかと思ってたんですが、ふたを開けたらけっこうバラエティに富んでておもしろかったから。
個人的にはスピーチコンテスト本番でもここがいちばん熱い戦いになりそうな予感すらします。

で、中級部門の学生もやっぱりそれなりのものを書いてきました。
中級部門に出場する2人のうちの一人は過去にもスピーチコンテストに出場し、初級前半と初級スピーチ部門の2階級制覇を達成した学生だというのもあったので、内容もそれなりによくて直しを入れる手間も少なかったし、読ませてみるとスピーチも上手で飲み込みもいいし。

問題は初級スピーチ部門の学生ですよ。

6人の中で「これは面白くなりそうだ」っていうのを書いてきたのはひとりだけ
で、あとの5人がもってきたのはまず「ハチ公物語」にはじまり、ネットで見つけた感動話教訓めいたシリアの昔話、イスラム系かどこかの啓発本みたいなのの引用、って…。
思わず学生に言っちゃいましたよ。「…なにこれ?」って。

…えと、ちょっと再確認させていただきます。


スピーチ【名(-スル)】 1.大勢の前で自分の意見や主張を述べること(=演説)


…ですよねぇ。

シリアの学生はどうしてか作文に弱く、自分の意見とか内に秘めた思いの丈とか、おもしろ経験談とか、そんなのを書くのが苦手なんかなぁ…ていうのがあって、それはやっぱりお国柄、公の場で主義主張を述べたりすることができなかったり、そういう機会もないからなんでしょうか…。
しかし、ここへ来てここまで惨憺たるものをもってこられては頭も痛くなりますわな。
というわけで…、

あのさぁ、スピーチって何だかわかる?

…みたいな話から始めて、どっかのだれか知らない人が書いた心温まるエピソードとかが聞きたいんじゃなくて、キミたち自身が主張したいこととかみんなに聞いてもらいたい話とか、そんなの。そんなのがほしいの先生は。だから書きなおーし。
というのをひとりひとりに、優しく丁寧に、何度も繰り返しました。

…で、2人がリタイア。

最初から面白いスピーチになりそうなサマリーを書いてきた学生1人と、素直に書き直ししてきた学生3人。
その3人のうち2人は相変わらず「物語の引用」の域は脱することができず、スピーチではなく「感想文」になってしまっていましたが、そこはもう時間もないし「ゆけ、そして大観衆の前で赤っ恥かいてこい!」という親心から、まあよしとしました。

…あの、実を言うと、私がこれまで関わってきた日本語教育の現場において、まことしやかにささやかれている都市伝説があります。

私が直接指導した学生はスピーチコンテストで勝てない、と。

そんな不名誉な“不勝神話”がシリアでも語られることになってしまうのか…。
そんなこんなで現在、私も学生たちも日々の特訓に健気に取り組んでおります。


次回、スピーチコンテスト直前スペシャル第3弾は「怒涛のリハーサル編」をお送りします。

テーマ:日本語教育/異文化コミュニケーション - ジャンル:学校・教育

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