シルクロードのバネ工場

ウズベキスタン、フィリピン、ベトナム、モンゴル、そしてシリアに渡った日本語教師のブログです

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ホーチミン市日本語スピーチコンテスト

日本語スピーチコンテストについての話です。ちょっと長くなってしまいました。



「日本語能力試験」と「日本語スピーチコンテスト(または弁論大会)」の二つは、特に海外でそれなりに日本語教育が行われている国では「二大行事」と捉えられている所が多いと思います。

少なくとも、私が今まで教えていたフィリピンや、ウズベキスタンを始めとするその周辺国である中央アジアおよびCIS諸国ではそうでした。

学習者それぞれが自分との戦いを経て、自らの力で結果を生み出す能力試験に対し、スピーチコンテストや弁論大会などと呼ばれるものは、各教育機関の中から「弁論」という能力に長けた「選ばれし者」が集まり、学校の看板を背負って闘う、ある種「お祭り」のようなものだと個人的には思っています。

で、先日、そんな日本語教育界のお祭りであるスピーチコンテストがホーチミン市でも開催されたわけですが、私がいま教えている学生はまだまだそこに参加できるようなレベルでもないし、それ以前に我が教室は「教師会」なるものとは無縁なのでお声もかからず、とりあえず学生を引率してドキドキするようなこともないので、お気楽な気持ちで「祭り見学」に行ってきました。

ベトナムはご存知の通り日本語教育が盛んで、国内における学習者数は3万人、ホーチミンを中心とする南部だけでも18000人にも上るらしい。(開会の挨拶みたいなの聞いて初めて知ったんですがね、エヘヘ。)で、このホーチミン市日本語スピーチコンテスト、今年で13回目を数えるらしく、参加者も1次審査の「原稿審査」と2次審査の「スピーチおよび質疑応答」という厳しい審査を通過して選ばれた猛者どもが出場するらしく、これは期待せずにはいられません。

ところが、ところがである。

そんな厳しい審査を通過したっていう割には発音が悪くて聞き取りにくいし、質疑応答もなくてただ暗記したスピーチを発表して終わりだし、中には明らかに「先生に原稿書いてもらいました」てなスピーチもあり、「ありゃりゃりゃりゃ…、18000人も学習者がいてこれ?頂上決戦じゃないの?」と思ってしまうほどのレベルの低さ。しかも、出場者がどこの教育機関の所属かとかも発表されてなかったんですよねー。(ありゃ全員フリーの参加者なのか?そんなわきゃねーだろ。あ、もちろんこれは私個人としての意見であり、すばらしい大会でした、ていう人もいるとは思いますが。)

もちろん中には面白いスピーチもあり、身を乗り出して聞き入ってしまうものもありましたが、そういうのは最終的に入賞すらできず、なんかいかにも「耳障りのよい美辞麗句を並べただけ」みたいなスピーチが入賞してたし…。(まぁ、これはどの国でもそうで、結局のところ本大会での審査員が「日本領事」とか「日本人会会長」とか「某政府系団体の所長」とかだったりして、日本語教育の専門家は1人か2人ぐらいしか審査できないというのもあるんですが、それにしても本大会に出場する人を審査したのは日本語教育の専門家だよなー…。)

そんなこんながあり、ベトナムは日本語教育が盛んな国なのに、なんでスピーチコンテストのレベルがこんなにも低いのかなぁ…と思ってしまいましたが、これ、たぶんベトナムという場所柄だと思います。

というのも、特にホーチミンなどは日本人観光客も多いし、日系企業もウジャウジャ進出してるし、日本語教師も引く手あまただし、「そこそこ日本語が話せる」というのが比較的容易に「即・仕事」に繋がってしまっているフシがあるので、この手のお祭り騒ぎだとか、「単なる名誉だけ」に興味がある人が少ないんじゃなかろうか。

でもね、優勝した人には「賞金200ドルと日本行き往復航空券」ですよ。ベトナムの一部地域であるホーチミン大会で優勝しただけでこの大盤振る舞いって、正直オドロキです。

例えば、私が過去に教えていたウズベキスタン。

教室で「弁論大会に出たい人~」なんて言うと、99パーセントが挙手(行きたいけど、諸事情でためらってしまう奴が一人ぐらいいる)。しかし、ウズベクでは国内でもそれぞれ学校単位はもちろん、地区単位での選考があり、それに勝ち進んだ者がウズベキスタン本大会に出場。で、それに入賞したら、今度は中央アジア弁論大会への参加資格が与えられ、カザフスタン大会やキルギス大会の入賞者と競います。で、その中央アジア大会に入賞したものだけがCIS大会に進出し、ロシアなどを含む旧ソ連のCIS諸国を勝ち抜いてきた者と雌雄を決し、そこで優勝して晴れて日本行きの切符を手にすることができる。

…という長く険しい道があるのに加え、支給される日本行きのチケットは「モスクワ~日本間」というもの。なので、そこまで行って勝利を手にし、名実ともにユーラシアを制したとしても、再度モスクワへ行く財力なき者は日本へ行けずじまいになってしまう、という可能性もあるわけです。

もっとも、学習者数が決定的に違うというのもあるんだろうけど、ホーチミンの日本語スピーチコンテストのグダグダぶりを見てしまうと、「それにくらべてベトナムは……」という感は否めないところです。やはり日本と近しい関係になってしまった国はどこもそうなんでしょうか。

 

「200ドルと日本行きチケット」だけでも十分すぎるとは思いますが、もっとおいしいエサを大々的に学習者の眼前にぶら下げないと、レベルの高いスピーチコンテストを見ることは当分できそうにないというのも悲しい話ですがね…。

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